無料ブログサービスや「WordPress(ワードプレス)」の普及によって、誰でも自分のブログを持って、簡単に発信ができるようになりました。個人ブログは、運営者が自分の知識や経験を発信することで、それを読んだ多くの人たちに知見を与えられる、素晴らしいツールとなりえます。
しかしその反面、個人で運営をしているという性質上、アクセスを集めるために企業やお店に対する誹謗中傷に使われてしまうケースも珍しくありません。そのため、企業やお店には、自社や自分の店が誹謗中傷されたり、風評被害を受けたりすることを防ぐための対策が必要です。
この記事では、個人で運営されているブログにより誹謗中傷や、それに伴う風評被害を防ぐための対策、実際に誹謗中傷を受けてしまった場合の対処法について説明します。
企業やお店がブログで誹謗中傷を受ける主なケースは2つあります。どんなケースで実際に誹謗中傷が発生しているのか見ていきましょう。
1つ目は、お店を紹介するブログで誹謗中傷を受けるケースです。
例えば、運営者が色んな飲食店や喫茶店に行って、そのお店の味や雰囲気、接客態度などをレビューする個人ブログ。こうした場合は個人の意見や主観に基づいた感想が前面に出ることが多いため、お店に対する批判などが書かれてしまうことがあります。
人気のブログであれば、たくさんのファンがついており、1記事だけでも多くのアクセスが集まります。そのため、誹謗中傷をされた1本の記事で、大きな影響を受けてしまう危険もあるのです。
2つ目は、元社員や現社員によって、その企業に対する誹謗中傷を書かれてしまうケースです。このケースは、企業が社員から恨みを買ったり、不満を持たれたりすることで起こります。
こうしたブログにおいては投稿されている記事のほとんどが特定の企業に対する誹謗中傷というケースも少なくありません。
企業名が実名で載っていれば、検索エンジンにも引っかかりやすく、上位表示されれば、多くの人の目に触れてしまいます。特に有名企業であれば検索する人も多く、ブログを目にした第三者が拡散し、風評被害を受ける確率も高くなります。
ブログで誹謗中傷されたら、あわせてSNSもチェックすることをおすすめします。なぜなら大抵の場合、運営者はSNSのアカウントも持っていて、ブログの更新をSNSでお知らせするからです。そうすることでキーワードで検索してきた人だけでなく、SNSのフォロワーにも記事を読んでもらいやすくなります。
SNSでは更新のお知らせ以外の投稿もしているケースが大半です。特定の会社の誹謗中傷ブログの運営者は、SNSでも、その会社の誹謗中傷をしている可能性が高いと言えるので、運営者のSNSもチェックするようにしましょう。
ブログで誹謗中傷を受けると、企業やお店は風評被害を受けやすくなります。風評被害とは、根拠のない噂によって経済的な損害を被ることです。誹謗中傷を受けることで、企業やお店はどんな風評被害を受けるのか説明していきましょう。
お店の場合、売上や来客数が減少する危険があります。例えば「あの店は接客態度が最悪ですごく不快な思いをした」などと書かれてしまえば、そのブログを読んだ読者は店に来ることはないでしょう。
それが多くの人の目に留まれば、結果、来客数が減少し売上も少なくなってしまうのです。
この点は企業の場合も同様です。社員による誹謗中傷ブログで会社を悪く書かれれば、不買運動が始まり売上が減少する可能性があります。
企業の場合においては社員に誹謗中傷ブログを書かれることで求人応募者数が減少する危険があります。
例えば、あなたが転職活動中で「◯◯株式会社」という企業への応募を検討していたとします。企業の情報をチェックするため、会社名で検索すると「現役社員が暴露する!◯◯株式会社の労働環境」という名前のブログが見つかりました。
入社する会社の労働環境は誰もが気になることなので、こんなタイトルのブログがあればほとんどの人がクリックしてしまうはずです。そのうえで、ブログの記事に会社の誹謗中傷ばかりが書かれていれば応募をやめようと思う人が多くなるのは当然のこととも言えます。
誹謗中傷や風評被害を受けないためには事前の対策が重要です。企業やお店ができる、誹謗中傷や風評被害を受けないための対策について説明しましょう。
誹謗中傷を未然に防ぐうえで、最初にやるべきは誹謗中傷される根本原因を洗い出して改善することです。
誹謗中傷のブログを削除してもらったところで、根本原因が解決しなければ、また別の誹謗中傷ブログが生まれ、いたちごっこになりかねません。そうならないためにも根本原因があるのならば、まずはそれを断つべきです。
根本原因になりやすいのはお店の場合は接客態度、企業の場合は労働環境になります。この場合、接客態度や労働環境を改善してお店や企業に不満を持つ人を減らすことで、誹謗中傷を受ける確率を低くできます。
先ほどのケースとは違って、お店や企業に不満がなくても、面白半分やストレス解消、歪んだ正義感などで誹謗中傷を繰り返す人もいます。こうした人に対しては、接客態度や労働環境を改善したところで効果がありません。
そのため、どんなお店や企業であっても誹謗中傷を完全には防げません。しかし、誹謗中傷に伴う風評被害だけであれば、未然に防ぐことも可能です。
その方法は誹謗中傷を早めに見つけ、早期に対処することです。早めに芽を摘めば、誹謗中傷が多くの人の目に触れることを防げるため、風評被害を受ける確率を低くできます。
早期発見の方法としては、定期的に自社やお店の名前で検索(エゴサーチ)して誹謗中傷のブログがないかをチェックするのが有効です。
誹謗中傷を見つけた場合の解決方法はブログや記事を削除してもらうことです。
誹謗中傷ブログの削除は個人でもできます。個人でできる、誹謗中傷ブログを削除してもらう方法について紹介します。
該当の記事が掲載されているのがブログサービスを利用したものである場合、サービスの運営会社に対して削除の申請ができます。ブログサービスとはブログを簡単に作成、投稿できるサービスです。
代表的なサービスとしては以下のものがあります。
ブログサービス名 | 削除申請方法 |
Amebaブログ | 削除請求(送信防止措置の申出) |
ライブドアブログ | 送信防止措置(削除)依頼について |
FC2ブログ | 不適切サイト報告・異議申し立てフォーム |
はてなブログ | はてな情報削除の流れ |
それぞれ、上記のリンク先に、削除申請のためのお問い合わせフォームや削除申請の方法が用意されています。自社に対する誹謗中傷のブログを見つけたら、まずは上記のリンク先から削除申請をするといいでしょう。
ただし、削除申請をしたからといって必ず対応してもらえるわけではありません。運営会社に対応してもらえなかった場合は次に説明する方法で削除を試みましょう。
近年ではWordPressを利用する個人ブロガーも多くなっています。WordPressとは、Webサイトを比較的簡単に作成、運営できる「CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)」の一種です。
ブログサービスの場合は運営会社の権限でサービス利用者の不適切な記事を削除することも可能です。しかし、WordPressはそのような権限を持つ管理者が存在しないため、運営会社に削除を申請する手段が使えません。
WordPressの場合は記事を削除してもらうには、そのブログの運営者本人に削除するよう依頼する必要があります。個人ブログには多くの場合、お問い合わせフォームが設置されています。
このお問い合わせフォームから誹謗中傷の記事を削除する依頼メッセージを送りましょう。
このとき注意したいのが、ブログの運営者に送るメッセージの内容です。特に経営者などであれば、誹謗中傷ブログの運営者に対して感情的なメッセージを送りたい気持ちにもなるはずです。
しかし「今すぐブログを削除しろ」というような威圧的なメッセージを送ることは避けましょう。誹謗中傷を行うということは運営者は会社に不満を持っている場合が大半です。この状態で威圧的なメッセージを送るのは火に油を注ぐようなものです。
また、威圧的なメッセージはキャプチャ(画像として保存)され、さらに記事のネタとして使われてしまう可能性もあります。メッセージの内容や書き方によっては炎上する危険もあるでしょう。
そうならないためにも運営者にメッセージを送るときは、他の人に見られてもいいように丁寧な文章を送るよう心がけましょう。記事の削除を命令するのではなく、お願いするという形をとるのがポイントです。
ここまで紹介した方法を使っても、誹謗中傷内容の記事を削除してもらえなかった場合は、状況に応じて弁護士か風評被害対策会社に相談するのがおすすめです。
弁護士と風評被害対策会社、それぞれに依頼することでどんな対処ができるのか説明します。
個人で削除申請をして、対応してもらえなかった場合でも、弁護士に削除申請を代行してもらえば対応してもらえる確率は高くなります。弁護士が介入すれば、ブログサービスの運営会社やブログの運営者にも事の重大さが伝わりやすくなります。
特にブログの運営者に直接削除を依頼する場合には弁護士から連絡が来れば、運営者は「訴えられるかもしれない」と思い、焦るでしょう。また、現社員が運営者である場合、法的措置をとられることにより、会社に誹謗中傷ブログの運営者が自分だとばれてしまうことも危惧するはずです。
そのため、個人での削除依頼に対応してもらえなかった場合でも弁護士の協力を得れば、削除してもらえる確率が高くなるのです。
弁護士を通しても、削除依頼に応じてもらえなかった場合は、裁判所に削除命令を出してもらう方法があります。
裁判所から削除命令が出れば、多くの場合、相手方は削除に応じます。応じなかった場合も強制執行による削除が可能です。
裁判所に削除命令を出してもらう場合も弁護士に依頼するのが一般的です。
ただしなかにはネット関連の問題に詳しくない弁護士事務所もあります。弁護士に依頼するならインターネット上の誹謗中傷対策に強い事務所を探して相談するようにしましょう。
すでに自社に対する誹謗中傷ブログが存在している場合、風評被害対策会社に依頼して、そのブログを目立たなくすることが可能です。
検索エンジンで会社名などを検索した際、検索結果の1ページ目に誹謗中傷内容のある記事が表示されていると、多くの人たちの目に触れてしまいます。風評被害対策会社では、このようなケースを主に「逆SEO」の手法を使って該当の記事を2ページ目以降に追いやってくれるのです。
逆SEOとは、検索結果のなかから誹謗中傷などの不適切なサイトや記事の検索順位を押し下げる施策です。検索順位を下げることで人目に触れる機会が減るため、風評被害が起きる確率や損害額を低くする効果があります。
このほかにも風評被害対策を行う会社では、被害の状況に応じて最適な解決方法を提案、実行してくれます。誹謗中傷を含む内容を書かれてしまって、どう対処していいか分からないという場合は風評被害対策会社に相談してみるといいでしょう。
【誹謗中傷対策センターの逆SEO事例】
実際のレポート画像:ネガティブサイトが押し下げられ作成したサイトが上位を占めている
企業名を検索した際に事実とは異なる口コミが記載されたサイトが上位に表示される結果だったため弊社にご相談いただきました。
企業の活動内容などをクローズアップしたサイトや情報をまとめた最適なサイトコンテンツを作成し、徐々に検索結果が変化し、10ヶ月弱ですべてのネガティブなサイトが1ページ目に表示されなくなりました。
個人ブログや、そこに投稿された記事は内容によっては多くの人の悩みを解決する薬にもなれば、毒にもなり得ます。なかでも誹謗中傷ブログは、企業やお店にとって猛毒になる危険すらも秘めています。
企業やお店は誹謗中傷されていないか定期的にチェックした上で、状況に応じて弁護士や風評被害対策会社への相談も検討するようにしましょう。