企業活動を行ううえでは様々なリスクがありますが、ネット全盛かつSNSが普及した現代では、炎上リスクも見過ごせない問題となりました。現に、ネット上で企業が炎上するケースは多く、その結果、誹謗中傷や風評被害を受けてしまうことも少なくありません。
炎上や風評被害を防ぐうえでは、炎上の火種になりそうな投稿を早期発見することが大切です。この記事では、炎上を未然に防ぐための対策と、火種を早期発見する方法について、説明します。
炎上を100%防ぎ切ることは、不可能です。しかし、ある程度なら、炎上を未然に防ぐことも可能です。 SNSでの投稿がきっかけの場合、炎上は、以下のように進行します。
1の前に、火種となるような内容の投稿を防げれば、炎上は起きません。また、1が起きてしまっても、2の時点で火種を発見し、早期に対処できれば、本格的な炎上が起きる前に鎮火が可能です。
企業にとって、炎上の火種となるような内容は様々あります。そのなかでも、主なものについて、紹介します。
企業にとって、最も気をつけるべきなのが、企業や経営陣の不祥事です。パワハラやいじめなどの労働環境、反社会組織との交際、商品やサービスの欠陥などが、これにあたります。
労働環境に問題がある場合、従業員の個人ブログやSNSで、企業にとって好ましくない投稿をされる危険があるため、注意したいところです。商品やサービスの欠陥の場合は、消費者がSNSに投稿して、そこから炎上するケースも多くなっています。
炎上を防ぐうえでは、SNS公式アカウントや公式ブログでの投稿には、細心の注意が必要です。なぜなら、SNSやブログでの、以下のような投稿が原因で、その企業が炎上するケースも多いからです。
SNS公式アカウントや公式ブログでは特に、上記のような投稿をしないよう、十分注意しましょう。
SNSでは、従業員の個人アカウントが炎上し、そこから個人の勤務先が特定されて、企業に飛び火するケースもあります。このケースでの責任は、炎上を起こした個人にあるものの、内容によっては、企業まで炎上してしまうこともあり得ます。
例えば、一個人が、個人的な意見として、差別的な発言をして炎上したとしても、その人が勤めている企業まで炎上するリスクは低いと言えるでしょう。しかし、一従業員が、仕事で得たお客さんの個人情報をさらすような内容の投稿をすれば、企業の責任も重く見られてしまうため、炎上する確率も高くなります。
企業側に非がなくても、炎上が起きるケースもあります。それは、第三者が企業を誹謗中傷した投稿が火種となって、炎上するケースです。
誹謗中傷とは、根拠のない悪口を言って、他者の名誉を貶めることを指します。投稿の内容が事実無根であっても、それを見た多くの人たちに信じられてしまえば、企業が炎上してしまう危険は高くなります。
炎上を起こした企業に、二次的に起こりやすい問題が、誹謗中傷と、それに伴う風評被害です。風評被害とは、根拠のない噂(風評)によって、経済的な損失を被ることです。
一度炎上が起きると、企業には批判が殺到しますが、そのなかには誹謗中傷も含まれているケースが多くなっています。誹謗中傷を受けると、企業は以下のような風評被害を受けるリスクがあります。
炎上することでも、企業はこれらの損失を受けやすくなるため、風評被害を受ければ、経済的な損失がより大きくなる危険があります。
炎上を未然に防ぐための対策は、2つあります。
1つは、火種となるような投稿を防ぐこと。
もう1つは、早期に火種を発見して、早期に対処することです。
それぞれの対策に有効な方法について、説明します。
火種となるような投稿を防ぐうえでは、社内でSNS使用に関するガイドラインを策定するのが有効です。
炎上は、SNSでの投稿が発端となって、起きるケースが多くなっています。企業の公式アカウントの投稿だけでなく、従業員の個人アカウントの投稿から、企業が炎上してしまうケースも少なくありません。
SNSで炎上が起きてしまう原因の1つに、企業にSNSでの炎上を防ぐための対策ができていない、または不十分であることが挙げられます。これを防ぐために有効なのが、社内でSNSの使用に関するガイドラインを策定し、全従業員に周知させることなのです。
例えば、ガイドラインに以下の内容を盛り込めば、SNSの投稿から炎上が起きる確率をグッと低くできます。
また、企業では、SNSが持つ炎上リスクについて、全従業員に説明するのも重要です。
特に、個人アカウントから企業が炎上した場合、原因となる投稿をした従業員は、炎上に対する危機意識が不足していたと言えます。この場合、SNSが持つリスクを説明することで、危機意識を持たせることができ、ひいては炎上につながるような投稿を防げます。
全従業員に、SNS使用に関する研修を受けさせると、より効果的です。
ガイドラインの策定や研修については、自社で独自に行うよりも、外部に委託するのがおすすめです。風評被害対策会社なら、ガイドライン策定のサポートや、従業員向けに研修をしてくれるところもあります。
炎上の火種となるような投稿が、すでにされていた場合、炎上を防ぐうえで重要なのが、早期発見と早期対処。早期発見するうえで、有効なのが、定期的にネット上を監視することです。
ネット監視のやり方は、ネット上で、企業名やブランド名、サービス名などで検索して、自社に関する投稿や記事をチェックするだけです。この作業は、頻度と担当者を決めて行いましょう。
ネット上には、日々膨大な量の投稿が生み出されているので、頻度は多いに越したことはありません。ネット監視は、本来の業務とは別の作業になるので、1人を担当に据えるより、複数人で持ち回りの当番制にするのがいいでしょう。
リソースが足りない場合は、風評被害対策会社に代行してもらうのがおすすめです。対策会社によっては、目視のほか、独自のツールを使った検知などもしているため、自社で行うより、高精度なネット監視が可能です。
ネット監視を始めるにあたっては、重点的にチェックするメディアやサービスを、あらかじめ決めておきましょう。ネット監視を行うべき、代表的なメディアやサービスを紹介します。
ネット上のメディアやサービスのなかでも、特に炎上が起こりやすいのが、各種SNSです。SNSは、気軽に投稿ができて、拡散性も高いことから、真っ先にチェックするようにしましょう。
代表的なSNSには、「Twitter」「Facebook」「Instagram」があります。
各SNSには検索機能があり、検索窓にキーワードを打ち込むことで、そのキーワードが使用されている投稿を表示させられます。この機能を使って、企業名などでエゴサーチ(自分の名前で検索すること)して、一つひとつの投稿をチェックするのが有効です。
[出典]twitter
「5ちゃんねる」や「2ちゃんねる」などの匿名掲示板には、企業に対する誹謗中傷の投稿も、数多く書き込まれています。誹謗中傷による風評被害や炎上を防ぐうえで、重点的にチェックしたいサイトです。
5ちゃんねるや2ちゃんねるでは、特定の企業についてのスレッドも立てられています。サイト内検索で、自社の企業名やサービス名が入ったスレッドをピックアップし、そのスレッドでの書き込みの内容をチェックするようにしましょう。
企業では、公式ブログに投稿した記事が、炎上することもあります。この場合、記事のコメント欄には、記事の内容を非難するような投稿が殺到します。
炎上がブログ記事のなかだけで収まれば、まだいい方で、記事がSNSにシェアされて拡散されたり、ネットニュースになったりすることも珍しくありません。こうなると、ブログの読者以外にも、炎上が広がってしまいます。
炎上を防ぐためにも、企業の公式ブログのコメントは、しっかり確認するようにしましょう。ほかの記事に比べて、コメント数が圧倒的に多い記事があったら、要注意です。
炎上の火種となりそうな投稿ができる場所は、ネット上に無数に存在しますが、目立ったものは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用すれば、発見できます。検索エンジンでエゴサーチして、炎上の火種となりそうな投稿がないか、確認しておきましょう。
[出典]Google
ただし、該当する投稿が、検索結果の上位にある場合、炎上を未然に防ぐうえでは、やや手遅れだと言えます。なぜなら、上位表示されている時点で、企業名などで検索した他のユーザーにも、その投稿を見られてしまっている可能性が高いからです。
裏を返せば、企業名でエゴサーチしたとき、検索結果の上位に、炎上の火種となりそうな投稿がなくても、安心はできません。炎上が起きる前の段階では、火種となる投稿は検索結果の下位に潜んでいるので、検索結果はできるだけ、下の方までチェックするようにしましょう。
またGoogleではGoogleアラートという、指定したキーワードが含まれる検索結果をメールやRSSフィードで受信するサービスがあります。
[出典]Googleアラート
炎上しそうな投稿を発見したら、炎上が起きる前に早期に対処することが重要です。対処といっても該当する投稿を削除することではありません。
炎上予備軍とみられる投稿の削除を行うと、その投稿を見ていたユーザーたちから隠蔽ととられて、かえって炎上してしまう危険があります。そのため炎上が起こる前であっても安易に投稿を削除すべきではありません。
そのような投稿を発見したときの正しい対処法としては、公式ホームページや公式ブログ、SNSの公式アカウントなどで、先に謝罪の投稿をしてしまうことです。
一口に炎上しそうな投稿といっても、自社に非がある場合や非がない場合など、様々なケースがあります。それぞれ謝罪のしかたが異なるのでケースごとに説明していきましょう。
どのケースも炎上まではいっていないものの一部の人たちから批判が集まり出している状況を想定しています。
公式ブログやSNS公式アカウントに、問題となる投稿をしてしまったなど、自社に非がある場合は、炎上する前に、謝罪の投稿をしましょう。例えば、「先日の〇〇の投稿について、一部不適切な表現があったことをお詫びいたします」などと投稿します。
このとき、問題となる投稿をしてしまった理由や背景を説明したうえで、再発防止に努めることにも触れておきましょう。再発防止のために、どんな取り組みを行うかについても、書いておくとベターです。
第三者による誹謗中傷の投稿などで、自社に非がないことが明らかな場合は、該当する投稿の概要を説明したうえで、事実無根であるという投稿をしましょう。この投稿をすることで、消費者の不安を払拭でき、身の潔白も証明できます。
この場合も、「ご心配をおかけしてしまい、申し訳ございません」などと、部分的に謝罪の形をとっておくことが大切です。
第三者による、自社を非難する内容の投稿があったものの、書かれている内容が事実かどうか判断できない段階では、お騒がせしてしまっていることを謝罪したうえで、事実確認中であると投稿しましょう。この際、事実が分かった段階で、あらためて報告の投稿をすることも、説明しておきます。事実かどうかが分かったら、結果に合わせて、自社に非がある場合、または自社に非がない場合の対応をとりましょう。
炎上を未然に防ぐうえでは、「火種となるような投稿を防ぐこと」と「早期に火種を発見して、早期に対処すること」が重要です。
火種となるような投稿を防ぐうえでは、社内でSNS使用のガイドラインを策定すること、火種の早期発見には、定期的なネット監視が有効です。
これらの対策を自社で行うのが難しい場合は、風評被害対策会社への依頼をおすすめします。風評被害対策会社では、上記の炎上対策のほか、風評被害の対策もできるので、炎上や風評被害を未然に防ぎたい企業の方は、ぜひ検討してみてはどうでしょうか。