悪口や陰口のことを指す「誹謗」と、根拠のないことを言い、他人の名誉を傷つける「中傷」。この二つが合わさった「誹謗中傷」は昨今特に注目を浴びるワードです。 個人に対する誹謗中傷が多いのはもちろん、法人に対しても誹謗中傷は存在します。 「どのような言葉が誹謗中傷にあたるのか?」「自身の会社の誹謗中傷を見つけたらどうすればいいのか?」具体例をもとに紹介します。
法人が受けた誹謗中傷の具体的なニュースを紹介します。
2021年8月、「ワクチン入りトマト」に関する情報がSNSで急激に拡散しました。そのことが記載された記事がSNSを通じて多くの人に広まり、大きな話題となりました。
記事にはカゴメやカルビーといった食品の大手企業をはじめ、人材企業パソナの名前も並んでいたとのことです。
また、記事とは別で「ワクチン入りトマト流通プロジェクト」という計画が始まり15の企業が参画していると思わせる画像も拡散しています。
何に効果のあるワクチンであるかを記載したものがないものの、時期的に見ても新型コロナウイルスのワクチンを思わせることとなり、名前の挙がった企業の不買運動にも繋がっています。
名前が挙がったそれぞれの企業の営業活動に不利益が発生したことはいうまでもありません。
この「ワクチン入りトマト」「ワクチン入りトマト流通プロジェクト」について、名指しされた大手企業は一切関係していないことや誤った情報であることが公表されており、デマであることが分かっています。
ただし、名前の挙がった企業で「Plant Based Lifestyle Lab」というプロジェクトが設立されていることから、このプロジェクトが誤った形で認識され、拡散したと考えられています。
参照:「ワクチン入りトマトが出回っている」、関与疑われたカゴメやカルビー「デマ」と否定
新型コロナウイルスの感染予防により、多くの商業施設や店舗で感染者が確認されれば休業せざるを得ない状況だったころ、各地で「コロナ感染者が出た」とするデマが相次ぎました。
滋賀県ではコンビニ店長の写真と「私コロナ感染者と近寄って来た」とする文面をSNSにアップされたものが拡散されました。
このコンビニには一切身に覚えが無く、デマであることから名誉棄損などの疑いで告訴されました。
実際、コンビニには問い合わせの電話対応を余儀なくされており、業務を妨害させたことから、偽計業務妨害罪も追加され同県の女性が在宅起訴されています。
新型コロナウイルス感染者がまだまだ多い中「感染者が出た」という情報は、正誤が定かでなくても「念のためその店には行かない」という選択肢を与えてしまい、結果その店舗の売上に影響してしまうこともあります。
参照:SNSにコロナ感染のデマ 中傷被害で一時休職のコンビニ店長の苦悩
企業への誹謗中傷は、多くの場合では営業活動を妨害する「業務妨害罪」に問われることが多いでしょう。
しかしながら、法人であっても名誉棄損が成立することがあります。
他人の名誉を傷つける行為の「名誉棄損」。
今回は法人に対する名誉棄損についても焦点を当ててみます。
どのような誹謗中傷が名誉棄損に当たるのかを具体例をもとに紹介します。
これらの発言は社会的評価を下げる言動です。また真偽についても確かめることができ、不特定多数の人が閲覧できる口コミや掲示板などに掲載されていると名誉棄損に該当する可能性があります。
企業が誹謗中傷を受けた際、その発言については何かしらの罪に該当するかを考えます。
多くは業務妨害罪を考えますが、その他にも該当する罪があるかもしれません。
ここでは刑事責任について紹介します。
信用棄損・業務妨害は、デマなどの虚偽情報を不特定多数の人に広め、業務を妨害する行為です。
昨今はお店の料理に虫が入っていた等の情報がSNSで広まることが多くありますが、この情報が虚偽であった場合は信用毀損罪及び業務妨害罪に該当する可能性があります。
信用毀損罪及び業務妨害罪では、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。
名誉棄損は前述の通り、「他人の名誉を傷つけること」です。
法人であっても名誉を傷つける行為は認められておらず、名誉棄損罪に該当する場合には3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金が科されます。
記載した人物の特定等が目的ではない場合には、さらなる不利益を被ることを防ぐため、まずは削除することを考えます。
掲示板やブログサイトにはそれぞれ利用規約が定められていますので、規約違反を行っている書き込みであるか確認します。
削除依頼の方法はサイトによって異なるため、確認した上で削除依頼を行います。
ネクストリンクではこれまで多くのお客様のご相談をお受けしていたことから削除依頼についても多くのデータを蓄積しております。
削除方法に関するアドバイスも可能ですので、問題となるサイトがございましたらお問い合わせ下さい。
削除依頼したにもかかわらず対応されない場合や、削除を行っても繰り返し問題の投稿が行われる場合には、弁護士への相談も考えられます。
犯人を特定し警告または賠償金の請求を行うことで、誹謗中傷を止めることができます。
ただし裁判となる可能性も高いため、法的措置を検討する場合には担当となる弁護士と相談しながら慎重に判断する必要があります。